Vol.11 井上啓太医師 毛髪の再生医療治療 | CPC株式会社

2022/11/15

Vol.11 井上啓太医師 毛髪の再生医療治療

第11回目は、アヴェニューセルクリニック院長の井上啓太医師より、「毛髪の再生医療治療」についてご紹介いたします。

◇――――――――――◇

毛髪の再生医療治療

◇――――――――――◇

前回のメルマガでは、ヌードマウスの背中にふさふさの毛髪を生やすことに成功したWeinbergの毛髪再生モデルについてご紹介しました。しかし、このモデルはマウスの背中では可能な方法ですが、人間の頭皮では行うことが難しい方法であることも解説しました。

では実際のところ、毛髪の再生医療とはどのようなものなのでしょうか?

現在行われている毛髪の再生医療は、脂肪由来幹細胞や血小板、またはその派生物を用いた方法で、代表的なものとして次のようなものが挙げられます。

1.脂肪由来幹細胞を培養して利用

2.脂肪由来幹細胞を培養しないで利用

3.脂肪由来幹細胞の培養上清(培養する際に生じた上澄み液)を利用

4.血小板を濃縮処理したもの(PRPなど)を利用

細胞というのは、何かしらのタンパク質を分泌して他の細胞と情報をやりとりしているものですが、特に脂肪由来幹細胞は多種多様な成長因子(グロースファクター)というタンパク質を大量に分泌する性質があります。以前のメルマガでもご紹介した脂肪由来幹細胞が持つ損傷した組織を修復する機能は、この成長因子によるものです。また、成長因子は血小板にも多く含まれていることが知られており、PRPはこれを濃縮して得たものです。 

上記のうち、1、2、3はこうした脂肪由来幹細胞の性質を利用しています。

1、2は体内に細胞を移植し、移植された細胞から成長因子が分泌され毛包の成長を促します。3は培養上清中に分泌された成長因子を回収し、頭皮に局所注射することで、毛包の成長を促すというメカニズムのもとに効果を発揮します。4は成長因子そのものを注射するという意味で3と似たところがありますね。

  治療方法や効果の特徴としては、細胞を用いる1、2は手間がかかりますが、細胞が生きている限り成長因子を分泌し続けるため、効果が長続きする、治療回数が少なくて済むというメリットがあります。 1と2の違いは、採取部位の負担(1<2)や幹細胞の濃度(1>2)などです。成長因子を注射する3、4は、製剤の作製が容易である反面、成長因子が消費されると効果が消えるので、目的の毛髪量に達するまで、繰り返し注射する必要があります。

治療費用なども考慮して上手に治療を選べるといいですね。

   

【アヴェニューセルクリニック 井上院長プロフィール】

日本形成外科学会専門医/医学博士/東京大学非常勤講師/自治医科大学非常勤講師

/静岡がんセンター特別非常勤医師/下肢静脈瘤血管内焼灼実施医

   

経歴

・東京大学医学部 卒業

・東京大学形成外科助手

・埼玉医科大学形成外科助手

・静岡がんセンター形成外科医長

・コロンビア大学皮膚科