Vol.4 寺尾友宏医師 変形性膝関節症に対する再生医療の考え方 | CPC株式会社

2022/04/15

Vol.4 寺尾友宏医師 変形性膝関節症に対する再生医療の考え方

第4回目は、PRP治療、幹細胞治療を導入しているお茶の水セルクリニック院長の寺尾友宏医師より「変形性膝関節症に対する再生医療の考え方」についてご紹介いたします。

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変形性関節症に対する再生医療の考え方

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変形性関節症に対して細胞で治療を行おうと考えた時、大きく2つのパターンが考えられます。

①細胞で組織を作り、その組織を移植する

以前から行われている移植医療に近い考え方の治療法になります。

立体的な組織を作ってから移植をするため、立体構造が維持されやすい点が長所と言えます。

短所としては、移植をするために手術が必要になること、対象部位の大きさに限度があることなどが考えられます。

②細胞自体の能力で修復を促す

一方細胞自体の能力を利用する場合、バラバラにした細胞を使います。そのため注射で細胞を注入することができることから、体への侵襲が少ないことが長所と言えます。

また、関節全体に作用することができることから、広い範囲の変形にも対応可能ですが、立体構造を大きく変えることは難しいと思います。

治療後に半月板が大きくなる様子がMRIで確認できる症例も少なくありませんので、構造を変化させられない訳ではありません。

しかし、どちらかと言えば、立体構造は大きく変えずに機能再生を目指すということが、

②のタイプの細胞治療の主目的になると考えています。

細胞がどのようにして変形した関節を修復するのかについては、まだ分かっていない部分が多いです。

個人的には、注入した細胞が元々関節に備わっている修復メカニズムを活性化することで効果を発揮すると考えています。

注入した細胞は関節表面に接着するものもありますが、滑膜に取り込まれることも多いです。

滑膜には滑膜由来幹細胞が存在し、関節が損傷を受けた際には関節液とともに関節内に放出され修復を担当するという仮説があります。

また以前より、滑膜が伸展して損傷部位を修復するという報告もあります。

注入した細胞が滑膜に取り込まれ、滑膜由来幹細胞とともに修復のメカニズムを活性化して治療をするのではないかと考えています。

当院で行っている治療は②に分類されるものになります。

①のタイプでは、保険適応になっている疾患もありますが、②のタイプに関して今の時点では変形性関節症に対しての保険適応は取れていません。

そのため、変形性関節症に対して細胞治療を提供しようとすると自費診療で提供することになります。

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最後に

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整形外科領域で自費診療を活用する例が少なかったためか、最前線で活躍されてきた整形外科医の先生方が細胞治療を担当するケースはまだまだ少ないと感じています。

徐々に増えてきているものの、まだ足りないと思っています。

積極的に人工関節置換術などの手術に取り組んでいる先生方にこそ、幹細胞治療を活用していただきたいと考えています。

【寺尾友宏医師プロフィール】

日本整形外科学会専門医 / 日本再生医療学会認定医 / 日本整形外科学会認定スポーツ医

日本スポーツ協会公認スポーツドクター

経歴

東京医科大学医学部卒業 / 帝京大学医学部形成外科 / 埼玉医科大学形成外科

東京女子医科大学非常勤講師 / アヴェニューセルクリニック / お茶の水セルクリニック院長