Vol.5 寺尾友宏医師 スポーツと再生医療 | CPC株式会社

2022/05/13

Vol.5 寺尾友宏医師 スポーツと再生医療

今回はPRP治療、幹細胞治療を導入しているお茶の水セルクリニック院長の寺尾友宏医師より「スポーツと再生医療」についてご紹介いたします。

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Sports Medicineと再生医療

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今回は整形外科領域の再生医療、特にスポーツに関連した内容をお伝えします。

個人的に、整形外科は再生医療と相性の良い診療科だと思っています。

元々が機能再建を目指した科で、骨移植やモザイクプラスティなど移植系の治療も積極的に活用されています。

ドリリング、マイクロフラクチャーなどの治療手技は、骨髄からの細胞供給によって組織修復を目指す治療です。これらの治療法が1980年代後半から行われていることを考えると、再生医療という言葉が出てくる以前から整形外科では再生医療を行っていたとも言えます。

整形外科領域で扱う再生医療にはPRPと幹細胞治療の2種類があります。

PRPは通常の血液よりも血小板の濃度を向上させた液体という意味で、1970年代からこのように呼ばれています。1980年代に入ると顎顔面外科領域で使われ始め、その後、スポーツ外傷に使われるようになりました。つまり、スポーツ領域では、30年以上前からPRPが使われてきたことになります。

国内外でのアスリートに対するPRP事例は多く、メジャーリーグの選手がPRP治療を受けたというニュースを見ることも多くなりました。

当院では、アスリートの治療にPRPを使用することもありますが、可能であるならば幹細胞治療を受けることをお勧めしています。 

PRPに含まれる様々な成長因子等は、炎症を抑制するなど鎮痛効果を発揮し、治療効果を出すと考えられています。しかし血小板は、直接、組織を修復することはできません。

血小板は核を持たない細胞のため、基本的には組織の合成を直接行うことはできず、血小板に含まれる成分が細胞に働きかけをした結果として組織の修復が行われます。

このような作用機序を考えると、治療部位である関節内や腱、靱帯は細胞数が少ない場所のため、作用が不十分になる可能性が考えられます。

こういった理由で、私は可能な限りPRPではなく幹細胞治療をお勧めしています。

勿論、試合のスケジュール等の加減から、早急に治療を開始しなくてはいけない場合には、PRPはとても有益です。

一般的なPRPであれば、採血と同日に治療を行うことが可能です。そのため、時間的な余裕が少ない場合にはPRPで治療を開始するのが良いと思います。

一方、時間的な余裕があり、しっかりと治療を行っていくのであれば、幹細胞治療を検討いただくのが良いと思います。

また、PRPと幹細胞治療とを組み合わせるのも良いと思います。修復メカニズムの中での血小板と幹細胞の仕事の違いを考えると、同時に使うことで修復が行われやすくなるかもしれません。

まだエビデンスはありませんが、体内のメカニズムから考えれば、十分あり得る話だと思っています。

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最後に

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アスリートにとって、スケジュール管理はとても重要です。

症状だけでなく、スケジュールに合わせた治療法を提案するためには、様々な再生医療を提供できるようにしておくことが大切だと考えています。

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【お茶の水セルクリニック院長 寺尾医師プロフィール】

日本整形外科学会専門医 / 日本再生医療学会認定医 / 日本整形外科学会認定スポーツ医

日本スポーツ協会公認スポーツドクター

経歴

東京医科大学医学部卒業 / 帝京大学医学部形成外科 / 埼玉医科大学形成外科

東京女子医科大学非常勤講師 / アヴェニューセルクリニック / お茶の水セルクリニック院長