Vol.6 寺尾友宏医師 血友病性関節症と再生医療 | CPC株式会社

2022/06/15

Vol.6 寺尾友宏医師 血友病性関節症と再生医療

今回は、PRP治療、幹細胞治療を導入しているお茶の水セルクリニック院長の寺尾友宏医師より「血友病性関節症と再生医療」についてご紹介いたします。   

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血友病性感染症と再生医療 

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 血友病性関節症は、関節内の出血が誘引となる関節症です。 

関節内で繰り返し出血することにより発症する病態で、血友病ガイドラインには10歳以降であれば、いつ発症してもおかしくないと書かれています。 

因子製剤が進歩しており、血友病性関節症が起こりにくくなってきているそうですが、血友病性関節症も一般的な変形性関節症同様、発症した際には人工関節置換術が適応になります。 

若年で発症するため、滑膜切除などで人工関節のタイミングを遅らせる努力をするものの、 

他の選択肢が乏しいのが実状です。 

膝以上に足関節の変形に由来する症状で困っている方も多いそうです。 

人工関節置換術を行うタイミングを少しでも遅らせるためにも、追加で提供できる治療法が必要ですし、治療選択肢が多いに越したことはないと思います。 

お茶の水クリニックでは、血友病性関節症の治療も行っています。 

治療成績は良好で、患者さんの中には職場復帰された方もいらっしゃいます。 

勿論、大きく変形してしまった骨の形が元に戻るわけではなく、BMLが残ったままの場合もあります。 

ですが、軟骨が厚くなる、半月板が大きくなるなどの変化は起こります。 

それに、画像上の変化以上に、症状に大きな変化がでるように感じています。 

実際に治療を提供した感覚では、幹細胞治療は血友病性関節症に対する選択肢の1つになり得ると考えています。 

血友病性関節症の治療を幹細胞で行っていくためには、様々な注意点が必要です。 

その中でも特に重要なのは、組織採取量だと思います。 

培養細胞を使った治療を行う際には、初代培養用の組織が必要になります。 

ひと昔前は、100~300ml程度の組織を採取して細胞を集める方法しかありませんでした。 

ですが、技術の進歩に伴い、患者さんから採取する組織量は減少の傾向にあります。 

それでも20ml程度の組織を元にして培養を行う施設が多いようです。 

当院では、米粒数個分の脂肪組織から幹細胞を抽出して培養する方法を採用しています。 

この方法であれば、血友病の方でも大きな問題なく治療を受けていただけています。 

勿論、採取前後に出血量を抑えるため、スポットで因子製剤を追加していただく場合も多いです。 

そのため、血友病の治療を担当している先生とのリレーションも重要です。 

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最後に 

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血友病は、現時点では継続的に治療が必要な疾患です。 

血友病性関節症が若年発症であること、細胞治療の効果が変形初期であるほど高まりやすいことなどを考えると、本来は他家細胞を使って早期に治療を行うのが理想的だと思っています。 

他家細胞であれば、患者本人から組織を採取しなくても、細胞を使った治療を行うことができるので、一般的な関節注射程度の出血リスクで治療を行うことができます。 

しかし、血友病性関節症に対する他家製剤(再生医療等製品)は未だ登場しておらず、開発しているという話もあまり聞きません。 

今後もしばらくは血友病性関節症に対する幹細胞治療は、自由診療のみでの提供が続く可能性が高いと考えられます。 

血友病性関節症の方に広く治療を提供するためにも、多くの先生方に幹細胞治療に参加していただきたいと思っています。 

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【お茶の水セルクリニック院長 寺尾医師プロフィール】

日本整形外科学会専門医 / 日本再生医療学会認定医 / 日本整形外科学会認定スポーツ医

日本スポーツ協会公認スポーツドクター

経歴

東京医科大学医学部卒業 / 帝京大学医学部形成外科 / 埼玉医科大学形成外科

東京女子医科大学非常勤講師 / アヴェニューセルクリニック / お茶の水セルクリニック院長